俺様王子と秘密の時間
「ココにある資料はもう必要ないもんだけど、それを頼まれたんだ?」
成瀬川はちょっとかがんであたしの顔を覗きこむ。
つまり、さっき南センパイには口からデマカセ言ったんだ。
一瞬、目が合ったあたしはビクッと肩が上がりもう何も言えなくなってしまったのだ。
だからコクコクと適当に何度も頷きながらあたしはゆっくり後退りした。
もおおおおお――。
自分がイヤになる。
なんで盗み聞きなんてしたのよ、あたしのバカ野郎。
「えーと……昼休み終わりますよ?そろそろ戻らないと」
再びさっきの出口付近の壁に背中がくっついてしまい、逃げようがない。
「ふーん……」
成瀬川は挑発するかのようにちょっと顎を上げて、あたしを見下ろすようにニヤッと笑った。
ふええええ――ん。
誰か助けてえええ!