俺様王子と秘密の時間
「盗み聞きなんて、イケないぜ?」
「へ……?」
あたしはてっきり……キスされるかと思ってギュッと閉じた目を開いた。
そこには成瀬川の顔のアップがあって、首を傾げて「フッ」と漏らす。
瞳をパチパチするあたしの唇にフゥッと息がかかる。
「なに?期待した?」
「なっ……」
かああああああ――!
コイツ………!
あたしはムッとして、さっき見れなかった成瀬川の目をキッと睨んだ。
「んな顔されっと、イジメたくなるんだけど?」
成瀬川はからかうように言うと、今度はあたしの頬から髪の毛に手を伸ばしてそーっと触れた。