俺様王子と秘密の時間


「悲鳴あげるから驚いたじゃないの」

「ごめんね……変な夢見ちゃったの」

「またあのこと?」


コクリと頷くと、お姉ちゃんが差し出したカフェオレをすすった。



「引きずる気持ちもわからないでもないわよ?」

「うん……」

「アンタの場合、性格が変われないんじゃないの?」


シュボッ

お姉ちゃんはタバコに手を伸ばして火をつける。

黙りこむあたしに、更に続ける。



「まあ、アンタが自分で立ち直るしかないわね。だからわざわざ、わたしん家に転がりこんでまで今の高校通ってんでしょ?」


湯気のたつカフェオレのカップを包み込みながらあたしはただ頷いた。

お姉ちゃんは厳しい言い方をするけど、いつも正しいことを言ってくれる。

あたしがこのアパートに住む時もお姉ちゃんは言ったんだ。



『甘えんじゃないわよ』って。

 

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