俺様王子と秘密の時間
「他に女がいたりして?」
「な……」
「そんなに気になるなら、ケータイとにらめっこなんかしてないで椎菜から連絡してみれば?」
クスッと笑うお姉ちゃんは鏡を見てリップを塗りながらあたしに言った。
それが出来ないんだもん……。
用もなく連絡なんて。
てゆーか、なんであたしがこんなにモヤモヤしなくちゃいけないのよぉおお。
「あれ?お姉ちゃんお仕事?」
「そ。わたしに夏休みなんてないのよ?アンタが羨ましいわぁ」
「行ってきます」と言ってお姉ちゃんは玄関を出ていった。
ふーん。
“仕事”ねぇ?
カレンダーに“デート”って赤い文字で書いてあるのにぃ?
お姉ちゃんの男事情はよくわからない。
……それに、羨ましいって。
高校生のあたしだって色々と悩みを抱えてるんだからね。
しばらくテレビを見てから洋服を拾い上げて着替え終わると、パンプスに足を通してあたしも玄関を出た。