俺様王子と秘密の時間
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川村椎菜。
中学3年。
所謂、地味女だったあたしは中3になっても友達が出来きなくて。
真っ黒な髪の毛をみつあみにして、いつも文庫本を読むあたしにクラスメイトたちは近づこうとしなかった。
暗すぎ、地味すぎ、不気味すぎ。
お決まりの文句を言われていたことだってちゃんと知っていた。
友達がいないのは寂しかったけど、べつに何か危害を加えられたわけでもない。
だからこのままでいいと思った。
……その日までは。
次の日それは突然やってきた。
当時、あたしは誰もやりたがらない環境委員というものを先生に頼まれてやっていた。
花に水をあげて、観察して記録を残す。
教室に居ることが窮屈(きゅうくつ)だったし、心が休まる場所といえば任された花壇だけ。
その日もいつものように水撒きをしていた。