俺様王子と秘密の時間
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「……佐久間ってすごいこと言うんだね?」
全て聞き終えたあたしは放心していた。
だからだったんだ。
はーちゃんが学年2位を維持していた理由。
一生懸命、勉強していたのも佐久間くんが好きで彼の瞳に映りたかったから。
夏合宿の時にトップになると言っていたのも。
「アイツ、感傷に浸ってるかと思ってたのに最後の最後で何言ってんだって思ったわ」
お水の入ったグラスに手を伸ばし、それをゴクリと飲むとはーちゃんは笑った。
その笑顔はいつものはーちゃんだったから、あたしはそれを見て少し胸を撫でおろした。
「気づかなくてごめんね……?」
何一つ知らなかった。
あたしは気づいてあげることも出来なくて。
かけてあげる言葉さえ持ち合わせていなかった。
「そんな暗い顔しないでよー?可能性がゼロなわけじゃないんだしさ?」
俯くあたしに、はーちゃんは落ち込むわけでもなくやっぱり笑い飛ばして言った。