俺様王子と秘密の時間


「アイツも恋してたんだなぁ……て思ったらさ“恋に恋してる”わけじゃないけど、もっと好きになっちゃったよ……」


ふわふわの髪の毛を揺らして笑ったはーちゃんの顔は心なしか誇らしげだった。



「佐久間が彼女を忘れられなかったとしても……」


そこで止めるはーちゃんの顔を、あたしはじっと覗きこんだ。



「好きになって良かったって思いたいよ」

「うん……」


簡単な恋なんてないんだ。

それぞれ始まりも終わりもみんな違う。

どんな形になったとしても、そう思えるようになれたらいい。



「だから佐久間くんと図書室に居たんだねぇ……」

「えっ?なんで知ってんの?」

「あっ……!」


しまったぁああああ!

完全にいつもの調子に戻ると、はーちゃんはニヤリと笑った。



「なぁんか怪しいなぁ。さっきも王子のこと“千秋”なんて呼んじゃってるし、罪悪感とか言ってたし?白状しなさい?」


はーちゃんの大きな瞳がキラリと光った。

 

< 289 / 511 >

この作品をシェア

pagetop