俺様王子と秘密の時間
「アイツも恋してたんだなぁ……て思ったらさ“恋に恋してる”わけじゃないけど、もっと好きになっちゃったよ……」
ふわふわの髪の毛を揺らして笑ったはーちゃんの顔は心なしか誇らしげだった。
「佐久間が彼女を忘れられなかったとしても……」
そこで止めるはーちゃんの顔を、あたしはじっと覗きこんだ。
「好きになって良かったって思いたいよ」
「うん……」
簡単な恋なんてないんだ。
それぞれ始まりも終わりもみんな違う。
どんな形になったとしても、そう思えるようになれたらいい。
「だから佐久間くんと図書室に居たんだねぇ……」
「えっ?なんで知ってんの?」
「あっ……!」
しまったぁああああ!
完全にいつもの調子に戻ると、はーちゃんはニヤリと笑った。
「なぁんか怪しいなぁ。さっきも王子のこと“千秋”なんて呼んじゃってるし、罪悪感とか言ってたし?白状しなさい?」
はーちゃんの大きな瞳がキラリと光った。