俺様王子と秘密の時間


「とにかく、夏休み明けたら部室行きな?ねっ?」

「わかった……」

「あ。王子に“花子時代”のことは言ったの?」

「花子時代って……てゆーか言えないよぉ……」


そんなこと告白する勇気ないよ。

はーちゃんはクスクス笑ってあたしを見る。



「それから、羽鳥と仲直りしてやんな?」

「ん……」


それは違うかもしれない。

仲直りしてもらうのはあたしの方だよ。

あんなに酷いことを言ったのに、雨が降りだした肝試しの途中、羽鳥は引き返してくれた。


『まじで好きな女に相手にされねぇだけ』


あの日の放課後そう言っていた羽鳥。

女の子なら誰でもいいわけじゃないのにね……。

それに羽鳥の言っていた、アイツはやめとけっていうのも気になっていた。


ぐるぐる考えこんでいると、




ガタンッ!


「あぁあああ――っ!!!」

「ヒッ……!」


はーちゃんが突然、勢いよく立ち上がり叫んだものだから心臓が飛び出しそうだった。

 

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