俺様王子と秘密の時間
自分の席から窓の外に目をやると、女の子に囲まれながら登校してきたバカ王子。
……てゆーかバカ殿様々だ。
心の中でバカバカと連発していると千秋がふと目線を上にあげた。
視線が絡まった瞬間、ふっと口端を吊り上げて涼しい顔で笑った。
今あたし、笑われたの?
てゆーか約40日はあったであろう長い夏休み中に連絡なしで新学期早々コレですか……?
ムキキキキキッ――!
バカぁあああああって叫んでやろうかと思ったけどそれは出来ず。
変わりにベーっと舌を出すと身を隠すように窓際から頭を引っ込めた。
ムカつく……。
あたしはやっぱりからかわれていただけなのかな?
ちょっとでも期待していた自分にもっとムカつくよ。
もう一度、視線落とすと千秋の姿はなかった。
けれど駐輪所に向かって一台のバイクが走り抜けていくのが見えた。