俺様王子と秘密の時間


「きゃっ………」


成瀬川はあたしの頭の横に両手をついて、子犬みたいにまん丸な瞳をキリっと変えた。

あたしはビクンッと肩を上げる。

なによ……コイツ。

学校では王子様キャラで通ってるクセに、二重人格じゃん。




成瀬川は瞬きさえせずにあたしを見つめるから思わず逸らしてしまった。

どうしても見れない。

そしてすぐに両腕をつけてあたしを閉じ込めてしまったのだ。



「からかわないで……」


そう言うのが精一杯で、それ以上、何も言えなくて身体に力が入ってしまう。



「大真面目だ……」


成瀬川はさっきみたいに笑ってなんかなくて、真剣な眼差しをして言った。

嫌いだ……。

何か言わなくちゃって思っても、成瀬川の瞳がそれを阻止するんだ。

コノ瞳が、嫌い。

 

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