俺様王子と秘密の時間
「センパイも座ったら?」
涼くんはパイプ椅子に腰をおろすとあたしに向かいの椅子に座るよう促した。
小さく頷き言われた通りに座る。
涼くんはなんであたしを呼んだんだろう?
「あの……」
「コレとかよく撮れてるでしょ?僕、結構才能あるんだよねぇ〜」
あたしの言葉をわざと遮ると、近くの棚からファイルを取り出して広げた。
才能って……。
ファイルの中身は他人のスキャンダルネタ。
これのどこが才能なのぉ?
「ほら。これなんか絶妙なタイミングでシャッター切ったんだよー」
可愛らしい小動物みたいな顔には不釣り合いなほどのピアスが片耳を埋めつくしていた。
涼くんはソレを触りながらケラケラと笑っている。
「涼くん……、こんなことしちゃダメだよ……?」
あたしの言葉に涼くんはピタリと笑いを止めて、あたしに視線を移す。