俺様王子と秘密の時間
「どうして?だって、写真は真実を写すんだよ。僕はありのままを撮っただけだ」
ケラケラ笑っているのに涼くんの目はちっとも笑ってなんかいなかった。
それは文字通りそうかもしれないけど……。
「みんな困るじゃない」
「困る?困ることをしてるのは、本人たちだよ?僕は真実を撮ったまでだ。目に見える真実しか信用しないタチだし」
ふっと冷ややかな笑みをこぼし、やれやれとダルそうに頭を掻く涼くん。
「じゃあそろそろ、本題といこうか?」
口端を広げて意味深に微笑む。
なんなのこの子……。
夏合宿の日に会った時とはまるで違う涼くん。
そんな彼の態度や作り物の冷たい笑顔に胸がざわめきだす。
「僕はね、回りくどいのは好きじゃないんだ。だからさっさと言わせてもらうよ」