俺様王子と秘密の時間
あたしはしばらくなにも言えないままさっき涼くんが見ていたファイルに視線を落としていた。
涼くんがふっと鼻で笑ったことに気づいて我にかえる。
「……写真なんてないじゃない」
そ……そうだよ。
写真を撮ったと言っても実際に見せられたわけじゃないんだから。
焦ることはない。
「クスッ……」
向かいに腰かける涼くんは嘲笑うような顔をして立ち上がり、ガラス張りの棚の前へ行く。
制服のズボンのポケットから金色の鍵を取り出して一番上の小さな戸棚の鍵穴に差し込んだ。
カチャンッ
開放的な音とともに“極秘”と書かれたファイルを引き抜いた。
再び席についた涼くんは決まったようにファイルの中から一枚の写真を取り出す。
バンッ――!
机の上にソレを叩きつけた。
口元だけ笑う涼くんの悪魔みたいな表情は自信に満ち溢れていた。