俺様王子と秘密の時間
「ま、いーや」
「ほぇ………?」
その沈黙を破ったのは成瀬川だった。
あわわわわわわ。
思わず変な反応しちゃったじゃないの。
「だから別にもーいって。んなことより……」
安心するのはまだ早い。
コイツの瞳がそう言ってるような気がしたんだ。
次はなんなのよおおお。
相変わらず、その長い両腕であたしを閉じ込めたままなんだ。
早く解放してよ……。
「盗み聞きは認めんのか?認めないのか?」
「は………?」
「イケない子だなぁ、椎菜は」
成瀬川は口元を吊り上げて、まるでバカにするように鼻で「フッ」と笑った。
むっかあああああ――!
でも……否定しても肯定しても、きっと成瀬川はまたあたしをバカにするんだろうな……。