俺様王子と秘密の時間
涙目になりながら必死に抗議したけれど涼くんの嘲笑うような罵声は止まらなかった。
「王子とセンパイってこんな関係だったんだねぇ?」
フルフルと小さく頭を振ったけど、
「嘘はよくないなぁー。写真は真実を写しだすんだから、これに偽りはないでしょう?」
涼くんの悪魔のような笑顔がだんだんと滲んで見えてきた。
「花子さんのこと、王子は知らないんだよね?クスッ……知ったらどうなるかなぁ?」
足元を掬われるような気分だ。
千秋と付き合っているわけでもなければ好きだと言われたわけでもない。
『オレの女ってこと』
そんな本気か冗談なのかわからない言葉に手放しで喜べない。
だけどやっと自分の気持ちに正直になった今、泥ついた過去を知られて嫌われてしまうことが怖かった。
だから千秋に過去を話すつもりなんてなかった。
むしろ隠し通すつもりだった。
ただの、独り善がりの恋だ。