俺様王子と秘密の時間


“真のターゲット”。


カフェではーちゃんがあたしに言ったことが頭の中で木霊した。


『ねえ……、水城の狙いって王子なんじゃないの?』


とたんに胸が震えた。

キュッと縛られたみたいに身体が動かなくて声を詰まらせてしまう。



「センパイはきっと頭がいいからわかるよねぇ?」


目を見開いて驚くあたしに、涼くんはピアスを触りながら細く笑った。



「僕の狙いは初めからコイツだ。このバカ王子だよ」


あたしの手の内から写真を抜き取るとソレをクシャリと握り潰した。

冷めきった涼くんの笑顔に息を呑むことすら忘れてしまう。



「センパイはそのために利用させてもらうよ?」

「利用……?」

「うん。階段下で聞こえてきた、二人の会話からしてバカ王子は随分とセンパイに御執心みたいだからさ……」



あたしに一歩近づくとニヤリと不気味に笑って口を開いた。







「……ズっタズタに傷つけてよ。あのバカ王子をね」

 

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