俺様王子と秘密の時間


ドクンッ……とあたしの中で鼓動が跳ね上がるように動いた。


千秋を傷つける……?



「ねえ?出来るでしょ?“彼女”であるセンパイならきっと、アイツを傷つけられると思うんだ」

「あたしは彼女とか、そんなんじゃない……」

「ふーん。ま。僕は、王子とセンパイの恋愛事情なんてどうもいいんだけど」


机に寄りかかりながら笑った。

涼くんのその笑顔には、はっきりとした悪意がこめられている。



「アイツがセンパイに傷つけられてズタズタになったマヌケ面を、僕が責任を持って激写してあげるよ」

「なっ……」

「そしたら大スクープだ。学校中の王子様が、一転にして学校中の笑い者になるんだから」


……卑劣すぎる。

あまりにも汚いその目的にあたしは唖然として沈黙してしまう。


 

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