俺様王子と秘密の時間
「どうして……、千秋なの?」
「どうしてかって?気に入らないからさ。アイツの存在自体がね?そういうヤツって一人くらいいるでしょ?」
小馬鹿にしたように口元だけ笑う涼くんの声はさっきまでとは違うモノだった。
“気に入らないから”。
そんな身勝手な理由で傷つけられた人間はどれだけ辛い思いをするかをあたしは知っている……。
あの時の痛みは計り知れない。
自分の過去がバレたって構わないからと言えるほどの勇気があるわけでもないし、そこまで大人にはなれない。
けれど千秋を好きなこの気持ちに嘘偽りなんてないんだ。
「“氷のプリンス”なんて呼ばれてるアイツの鼻っ柱をへし折ってやりたいだけだよ」