俺様王子と秘密の時間
あたしはもう何も聞きたくもなければ何も見たくもない。
ケータイはまだ震える続ける。
背を向けて部室を出ようとした。
「よく覚えておくことだ」
背中に突き刺さるような視線と嘲笑うかのような声にピタリと動きが止まる。
「“王子様”にお似合いなのは、童話の中に出てくるような可愛い“お姫様”なんだ。脇役にもなれないセンパイじゃ、釣り合わないんだってことをね?」
……ズタズタにされたのはあたしの方だった。
そんなこと言われなくたって自分自身が一番よくわかっている。
わかっていただけに他人から口に出して言われると無性に惨めな気持ちになる。
あたしは耐えきれずに部屋を飛び出した。