俺様王子と秘密の時間
密着する身体が熱をもつ。
あたしはまるで胡座をかきながら新聞を読むお父さんの足の間に座る子供みたい。
ドキン、ドキン……。
しばらくおとなしくしていた胸のときめきが騒ぎはじめる。
「千秋……?」
後ろからスッと伸びてきた千秋の腕はあたしの胸下まで回り、ギュッと力をこめた。
背中に変な力がはいってしまう。
空いてる右手はあたしの頬に触れ、ゆっくりと滑り落ちてきた。
「オレに向かってバカとは」
そして顎を掴まれたまま無理矢理グイッと千秋の方へ向かせられた。
「どの口が言うのかな?」
き……きゃあああああっ!
千秋は後ろからあたしの顔を覗きこむようにこっちを見ている。
「ズルいよっ!隠れてたなんて」
抗議するあたしを涼しい顔で見つめる千秋。
長い前髪の隙間から見える千秋のブラウンの瞳はしっかりあたしを捉えていた。