俺様王子と秘密の時間


久しぶりに漂う千秋の甘い香水の香りが鼻を撫でて、胸がキュンッと反応した。

耐えきれずに目を逸らす。



「椎菜。ちゃんとオレを見ろ」

「む……むむ無理」

「見ろって言ってんだよ」


無言のまま千秋から目線を下に移して、あたしは大袈裟なくらいブンブンと頭を振った。


あたしってば……、なんでこんなにドキドキしてるの?

久しぶりに会ったから?


そんな自問自答をしていると千秋の手があたしの顎からパッと離れて、胸下に回る腕もスッと引いていった。



「そんなにオレが嫌か?」


トーンを下げたいつもよりもっと低い声で千秋はポツリと言った。


あたしは千秋の足の間から立ち上がりすぐに後ろを振り返った。

前髪で隠れてしまった千秋の表情が見えない。

千秋に一歩近寄りおろおろしながらも声をかけようとした。







「なーんてな?相変わらず、隙だらけなんだよ」

 

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