俺様王子と秘密の時間


「わぁっ!!王子じゃん!」


コウちゃんの驚いた声が聞こえ、あたしは後ろめたいような気持ちになって変な緊張感が走った。



「居たなら言ってよねぇ?まじでビックリしたよ〜」


コウちゃんの声しか聞こえない。

それが、窓際の一番奥のベットで身を潜めるあたしの緊張感と波打つ鼓動を激しく煽った。



「“王子様”が何してたんだ?」


噛みついたのは羽鳥だ。

やけに強調したその言い方からは、いつものおちゃらけた羽鳥の口調は消えていた。



「それは言えねぇな」


そんな挑発するような言葉に、羽鳥が黙っているわけがない。



「ふざけんな」

「じゃあ昼寝」

「ワイシャツまで、脱いでか?」


すかさず突っ込む羽鳥に、千秋の大袈裟すぎるため息が聞こえた。

千秋はボタンをかけずにベットから出て行った。

羽鳥が見逃すハズがない。

 

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