俺様王子と秘密の時間
「いきなり噛みついてくんなよ?何がそんなに気に入らねぇの?」
千秋はしばらく間を置いた後に、めんどくさそうに言い放った。
「待って待って!喧嘩はダメだよー!?隣の隣は職員室なんだから!」
コウちゃんが仲裁に入ったけれど、羽鳥がそれを阻止した。
「コウ、お前先帰ってろ」
「えっ?」
「いいから帰れって。今度乗せてやっから」
チャリン……と、さっき聞こえた金属音が今度はこの保健室の中で鳴った。
羽鳥のバイクの鍵だ。
あたしはとっさにそう思った。
「え!?まじ?」
「まじまじ超まじ」
「わかった!王子、雅弥をイジメないでね?」
ガラガラと扉が開く音とともに、コウちゃんが保健室を出て行く。
「お前、なんでシイに近づいてんの?」