俺様王子と秘密の時間


「え――っ!?春希さん!けっ、結婚するんですかぁ!?」


あまりの驚きにあたしは声を張り上げて叫んでしまった。

それには春希さんもビックリだ。



「まさか。大学卒業して、きちんと就職したらだよ」

「そうなんですか。婚約おめでとうございます!」

「まだだけどね。ちょっと色々あって……、彼女が不安がっていたからさ」


形だけでもちゃんとしたいんだ、と付け足した春希さんは眉を下げて悲しそうな表情を浮かべていた。


なんて言葉をかけようと声を詰まらせていると、後ろから羽鳥の足音が聞こえた。



「雅弥じゃん。元気してた?」


えっ……?

春希さんと羽鳥は知り合いなの?

なんで――?



「元気っすよ」

「そっかそっか。千秋とは相変わらず……?」


ついていけないあたしなんてお構い無しに話はどんどん進んでいく。

 

< 359 / 511 >

この作品をシェア

pagetop