俺様王子と秘密の時間
ポカーンと立ち尽くすあたしの頭には疑問符がたくさん浮かんでいた。
「巻き込んで悪かったね?雅弥」
「……いや。アイツ、もう春希さんに会いに行ったりしてないっすか?」
また“アイツ”と言った。
何がなんだって言うんだろう。
保健室での会話には千秋と羽鳥だけではなく、春希さんまで関係しているの……?
「千秋が合宿に行く前と、それから夏休みの間に来たよ」
合宿前……?
夏休みの間?
話の内容はわからない。
けれど尖った針がささったみたいに胸がチクッと痛んだ。
「行くなって、言ったんだけど。そのせいで春希さん彼女と……」
「いいんだ。アイツのこと……、気になっていたし。昔から千秋に頼りすぎていたよ、オレ」
それは今もなんだけどな、なんてボソッと呟いた春希さん。
「今ならわかりますよ。あの頃、オレが千秋でも同じことした……」