俺様王子と秘密の時間


真っ暗な空の下で街灯がちらつき始めた。



なんとなくわかっていた。

千秋と羽鳥の間に何かがあって、だけど千秋はあたしには絶対に言わなかった。

羽鳥だって千秋とは関わりない、そんな顔をしていたじゃない。


『言いたくないことの一つや二つ誰にだってあんだろ』


……真意がわからない。

羽鳥はずっと友達だったのにもう知らない人みたいだった。

二人はまるで他人のフリみたいな態度でいて、どうしてお互いを嫌っているんだろう。



……それだけしかわからないよ。



もしあたしが千秋に聞いたら、全部教えてくれるの?

気になってることも、羽鳥とのことも千秋の気持ちも包み隠さずあたしに全部教えてくれる?


いつも意地悪でからかってばかりで、肝心なことははぐらかすクセに。

それでもこんなに好きになっていたの。



………恋が簡単だったらこんなにも苦しい気持ちにならずに済んだのに。

 

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