俺様王子と秘密の時間
「……そういえば佐久間くんとはどうなったの?」
あの夏休み以来、佐久間くんの話は全く聞いていなかった。
あたしが聞いたとたん、ハミングしていたはーちゃんがピタリと口を結んだ。
「……別に何もないわよ」
「ほんとぉ?」
はーちゃん……?
なんか急に顔が強張ったような、何かをこらえるようなそんな表情。
「あのね……」
「シイ――――っ!」
せっかくはーちゃんが何か話しだそうとしていたのを、教室に飛び込んで来たコウちゃんがそれを遮った。
「ねえ!シイ?雅弥となんかあったの?」
「え……」
単刀直入に聞かれて言葉に困る。
確かに羽鳥とは今日一言も口をきいていないんだ。
だって……、羽鳥とどんな顔で会えばいいのか、何を話せばいいかわからなかったの。
「今日の雅弥、変だったからさ」
コウちゃんの表情が曇る。