俺様王子と秘密の時間
涼くんは「フッ」と鼻で笑い、あたしの腕を掴む手に力をこめた。
「やだなぁ。いたいけな男の子相手に、物騒なこと言わないでくださいよーっ」
無邪気な笑顔とは裏腹に、口調はどこか冷ややかなものだった。
……どこがいたいけな男の子なんだろうとつい思ってしまう。
「僕は、川村センパイに用があるんだ。安物の友情ごっこがしたいんなら、一人でやってればいい」
「なっ……!」
いくらなんでも酷い。
反論しようとしたけど、腕を掴んだまま涼くんはあたしを連れ出した。
教室を出る瞬間、心配そうな目であたしを見つめるはーちゃんに目配せした。
“大丈夫”だって言いたかった。
誰も居なくなった放課後の廊下を走り抜けて、涼くんはあたしを印刷室に連れてきた。
カチャッと鍵をかけると、涼くんは口を吊り上げニヤリと笑った。