俺様王子と秘密の時間


まだ陽は高い位置にあって印刷室の中に光が射し込んでいる。

印刷用の機械があり、その隣には大きめのデスクがあった。

デスクの上にはあたしの中学の卒業アルバムと、千秋とキスしている写真が何枚か散らばっていた。



「僕はね、やっぱり待つのは嫌いなんだ」


入り口で立ち尽くすあたしから、視線を逸らさず涼くんはパイプ椅子に腰をおろした。



「決心はついたかなぁ?自分と、あのバカ王子。どっちを取る?」


正直、怖かった。

バラされてしまうことが。


その弱い気持ちはつまり、さっきはーちゃんに言われたように“堂々と好きだと言えないような恋”をしてることになる。

確かにあたしは地味女だった。

そんな地味女だったあたしだけど、もう揺るがないんだ。

千秋を好きな気持ちを恥じるつもりはない。

だから……



「バラしたかったら、バラせばいいじゃない……」

 

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