俺様王子と秘密の時間
「そのままの意味だよ。花子さんのクセに強気な態度で生意気だから、ちょっと懲らしめてやりたいだけ」
涼くんはどこまでひねくれているんだろう。
無邪気な笑顔とは裏腹に、性格は残酷だ。
人が傷つくこともさらりと言ってしまうんだ。
「でも手を下すのは僕じゃない」
その言葉にあたしは眉を寄せた。
「おっと、タイミングがいいな。さすが“センパイ”だ」
涼くんのケータイから着信を知らせる音楽が流れた。
狭い印刷室で鳴り響く音が、あたしの不安を一気に煽った。
どうやらメールらしい。
画面を見て涼くんは含み笑いを浮かべ、ケータイをパタンと閉じる。
そしてデスクの上に散らばる写真をかき集め、卒業アルバムと一緒に鞄に突っ込んだ。
「さてと、一緒に来てもらおうか?」