俺様王子と秘密の時間
再びあたしの腕を掴むと、さっき閉めた印刷室の鍵をカチャンと開ける。
「ねえ、王子様を独占した気分はどうだった?」
廊下を足早に歩きながらに聞く。
涼くんの後ろを歩くような形になるあたしは意味がわからず絶句していた。
「みんなの王子様を独り占めなんてすると、罰があたるんだよ?」
「へ……?」
「神様はちゃんと見てるんだ」
ひ、独り占め?
それはそうかもしれない。
だけど罰があたるって?
一方的に言ってくる涼くんの思考は全くわからないし、掴まれた腕が痛い。
「痛いよ……、放して!」
「ダメだよ」
「どこ行くの……?」
涼くんは口を閉じたまま何も答えずにあたしを連れて行く。
物凄く嫌な予感がした。