俺様王子と秘密の時間


「……涼くんお願いっ!」


あたしは掴まれた腕をねじって、涼くんに何度も抵抗した。



「もう遅いんだよ。それにセンパイだって気になってたでしょ?誰が僕にアルバムを渡したのかって」

「いいっ!もうどうでもいいっ!……お願いだから放して!」


やだやだやだ……。

あたしはやっぱり怖いんだ。



「ほら、早く行くよ?」


涼くんは必死に抵抗するあたしの腕を無理矢理引っ張って下駄箱を出た。

雲行きが怪しい空。

まるでこれから起こることに相応しいみたいだ。



「センパイのこと話したら、腹抱えて笑ってたよ?その人、門のところで待ってるんだ」


心臓が物凄いスピードで波打つ。

息が荒くなる。

お願いやめてよ……。

 

< 380 / 511 >

この作品をシェア

pagetop