俺様王子と秘密の時間
いくら抵抗したって年下であろうと男の子の力に敵うハズがない。
あたしは門のすぐ側まで連れて来られてしまった。
ポツリポツリ……と灰色に変わった空から雨が降って地面を打つ。
「ほら、あそこ!センパぁイ!」
涼くんはあたしの腕をパッと離して、降り始める雨なんて気にもせずにその“センパイ”のもとへ駆け寄った。
絶対に知られたくないあたしの過去を涼くんに話した人なんだ。
涼くんとその人があたしの方に近づいてきて視界の中で大きくなる。
「久しぶりだなぁ〜花子?」
絡みつくような声にゾッとした。
あたしの瞳にまるで全てがスローモーションのように映りこんだ。
息も出来なかった……。
彼を見て全て真っ白になった。
ニヤリと笑って舌を出した
その舌の真ん中で
真っ赤なピアスが光った
一番怖かった人。
“モリヤユウジ”……。