俺様王子と秘密の時間


……心臓が止まるかと思った。

膝がガクガクする。

目を見開いてしまう。



「なあ花子、元気だったかぁ?」


なんでモリヤユウジが居るの?

どうして………?

涼くんが新聞部の部室で言ってた“他校のセンパイ”って……モリヤユウジなの?



「卒アル返してもらうついでに、てめぇの面を拝みに遥々来てやったんだぜぇ?」


モリヤユウジはあたしの肩に腕を回してグッと引き寄せた。

ワイシャツがかすめる音にさえも、あたしはビクンッと跳ねた。

アルバムを借したのは、モリヤユウジだったんだ。



「モリヤセンパイ、花子さんってば随分変わりましたよねぇ?」


クスクス笑う涼くん。

あの日、あの時の絶望が走馬灯のように残酷に蘇ってくる。

 

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