俺様王子と秘密の時間
お姉ちゃんはあたしより、6個上のOLさんなんだ。
いつもビシッとスーツを着ていてちょっとカッコイイなあなんて思う。
「行ってきます!アンタも早く支度して行きなさいよ?」
「はーい……」
「あ、アンタ寝癖ヤバいよ?じゃあねぇ」
「………」
ドタドタと階段を降りるお姉ちゃんの足音が響く。
あたしは顔を洗って制服に袖を通すと、ボサボサの寝癖と格闘し始めた。
アイロンで直しても直してもピヨンッと元に戻ってしまう。
「あ――もうっ!」
あたしは鏡を見て、何故か昨日の成瀬川のキスを思い出してしまった。
トクン……トクン……。
な……何でドキドキすんのよ!
あんなのカウントされないんだからね!
寝癖はもう諦めて、鞄を持ってまだ新しいローファーに足を入れた。