俺様王子と秘密の時間
教室の一番後ろの窓側の席に着くなり、あたしは机の上にカバンを投げるように置いた。
「はぁーあっ……」
とため息をつきながら目線を正門前に落とす。
そこには人が通れないんじゃないかって程、女の子でほぼ埋めつくされていた。
「まだかな〜?」
「王子はヤバいよね!」
「早く会いたいのにぃ」
なんて甘い声が聞こえるのはいつもの事なのだ。
近くの女子数名が何度も時計を確認しながらソワソワしている。
あたしの一番嫌いな時間、あたしの一番嫌いなアイツが現れる。
「きゃああああ!王子!」
「カッコイイ――!」
「ヤバすぎるううッ!お嫁さんにしてええええ」
き……来た……。
遂に来たんだ。
もう、帰りたいよおお。