俺様王子と秘密の時間
憂鬱を通り越して、もうぐちゃぐちゃな気持ちを抱えたまま文化祭の日を迎えた。
いつもと違う生徒達。
派手に飾りつけされた校舎内。
騒がしいほど賑わっているのに、一人どんよりと沈みきったあたしは、なんだか場違いなような気がした。
「うわっ!雅弥また焦がした!」
「もおーっなにやってんのよ!」
「うっせぇな!クレープなんか作ったことねぇんだからしょうがねぇじゃん」
和気あいあいと楽しそうにクレープを作るはーちゃん達の笑い声がすぐ隣で響いた。
生意気な子供みたいに反論する羽鳥の横顔を盗み見みると、さらにどっと落ち込んだ。
あの日から羽鳥とはまだ一度も口をきいてない。
羽鳥はいつもの調子で騒いでいるけれど、あたしはずっと肩を落としたままだった。