俺様王子と秘密の時間
俯くあたしの目の前に苺たっぷりのクレープが差し出された。
ふいに顔を横に向けると、クレープを手にした羽鳥がすぐ隣で座りこんでいた。
「苺スペシャル。つーかオレスペシャル?」
「へ……?」
「オレの自信作……黙って食いなさい」
あたしはちょっと面食らいつつも、小さく頷いてクレープを受け取った。
「もしかして雅弥、さっきからそれ作ってたの?」
「必死に作ってたわけね。てゆーかあたしの分は?」
それを見ていたはーちゃんとコウちゃんが次々と口を挟んだ。
「うっせぇ。お前らのはねえよ」
黄色い紙でくるっと巻かれたクレープは歪な形で、生クリームもはみ出していた。
ちょっと焦げた生地。
けどそれを隠すように熟した苺がたっぷりと埋めつくされていた。
「クスッ……」
「シイ、てめぇなに笑ってんだ」