俺様王子と秘密の時間
「さあーてと、行くか!」
「あ、葉月。悪いけど先に行ってくんねぇ?」
気を入れ直して立ち上がるはーちゃんに羽鳥はそう声をかけた。
「わかった」と言ってはーちゃんはコウちゃんの腕をひいて行ってしまった。
「羽鳥、どうしたの?」
クレープを手にしたままポカーンと座るあたしを見て、羽鳥は小さく息を漏らした。
「バカ王子となんかあったろ?」
「うっ……」
羽鳥は再びあたしの隣に腰をおろすと単刀直入に切り出した。
いつものようにこうして羽鳥と接することが出来たのは嬉しいけど。
あたしの気持ちを全て見透かされたような気がして胸が疼いた。
「シイ最近ずっと落ち込んでたし、なにがあったんだよ?」
「もういいの……」
「はあ?良くねぇだろ?」
「いいんだもん。千秋とのことは無かったことにするの……」