俺様王子と秘密の時間
桜の花びらが春風に乗って王子の周りにゆっくり舞い降りてゆく。
その瞬間が何故かスローモーションのように見えた。
それがすごく絵になっていて、改めてコイツはみんなの王子様なんだなぁ……なんて思ったんだ。
あたしはカチカチに固まっていたけど、クラスの女の子たちが騒ぐ声で我に返った。
あたし………今、見とれてた?
いやいや絶対ありえないよ。
「な……何でこんなことするのよ!」
そして女の子たちに聞こえないように声を潜めて聞いた。
《スリルがあって面白いから?》
王子は「フッ」と鼻で笑った。
むっかあああああああ!
やっぱりムカつくうう!
「もういいですよーだ!切るからね!」
あたしは通話終了ボタンを押そうと耳からケータイを離そうとしたら、「待てよ」って声がした。
「………なに?」