俺様王子と秘密の時間


千秋の長い前髪があたしにふりかかる。

睫毛の長さもピンク色の唇もあたしのすぐ目の前にあって、息が触れ合う。

心臓がおかしくなっちゃう。

もぉ……ダメだ。



「ち……千秋」

「バレたくなかったら黙ってろって」


聞き取るのが精一杯なくらいの小さな声でそう言うと、千秋は完全にあたしに覆い被さった。

あまりにも突然で……あたしは抵抗するなんて出来なかった。


そして……

「ちゃんとおとなしく出来たらご褒美やるよ」


あたしの頭の横で顔を埋める千秋が耳元で囁いた。


ご褒美……?

なに言ってんのよ。

あたしは犬でも小さい子供でもないのよぉおおお!



心の中で叫んでいると、すぐ側でバタバタと足音が響いた。


き……来た。

お願い……!

早く行って!


懸命に祈りながらギュゥっと目を閉じた。

 

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