俺様王子と秘密の時間
このまま帰ってしまおうか……。
そんな考えが浮かんだ。
だって……図書室にはこれからはーちゃんが勉強しに行くんだから、そんなところで千秋と会うなんて無理だよぉ。
見つからない自信なんてナイ。
ヴーヴーヴー。
途方に暮れていると、握りしめていたケータイが震え出して、開いてみると千秋からの電話だった。
「も、もしもし……」
《オレ、待ってんだけど?》
「は…………?」
イキナリなに言ってんのよ?
待ってんだけど、なんて言われてもこっちは行けないんだよぉ。
それになんか……機嫌悪いの?
いつもの低い声だけど今日はより一層、声のトーンが低いような。
「あ……あのね、さっきあたしの友達が図書室に行くって……だから、その……」
《まだ誰も居ねぇよ?》
「へ?」