ぱちってますか?
ナオは重大な事に気が付く。
『た、玉がない!そっか、この前はミキの玉貰ったんだ。台に付いてる貸玉ボタン押しても出ないし…』
途方に暮れるナオ。

その時、ひとつ隣で遊戯中のでっぷりと太った中年婦人が話し掛けてくる。
まぁ、どこにも居るお節介焼きのおばちゃんである。


「おねぇちゃん、なに困ってるの?」


「あっ、私 相川直と申します。素直の直です。実は玉ってどうしたら出て来るかわからなくて…」律儀に自己紹介までするナオ。


「ハッハハ、ナオちゃんね。パチンコ初めてかい?」
豪快に笑う女。


「いぇ、2回目ですが、前回は友人に玉を頂まして。今日がパチプロデビューでございます。」


突然腹を押さえ苦しみだす女。


「大丈夫ですか?」ナオの問いに


「ギャハハ、バ、パチプロ、苦しい笑い過ぎてお腹が痛い!」
女の反応に少しむくれるナオ。


「いゃ~笑って悪かったね。私は川田美保。名前通りの美人だろ?ギャハハ。一つ教えといてあげる。パチ屋じゃお互い名前なんて名乗らないものさ。よし、未来のプロさんに教えてあげよう。」


「すいません。宜しくお願いします。」素直に頭を下げるナオ。
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