俺様ワガママ主人×めいど
* * *
「さぁーて、坊ちゃんも居なくなったことだし始めましょうか♪」
「‥‥はい」
何故だろ‥
まだ仕事の一つもしてないのに、ぐったり状態なんですけど‥。
「行くわよー」
そして案内されるがままに蘭子さんの後をついて行くのだった。
「――で、ここが厨房」
そこは広く調理機具、材料、設備ともに文句のつけようがないほどに調っていた。
テレビとかで見たことはあるけど、こんなの‥実際にこの目で見るのは初めてだった。
でも
「人‥少ないんですね」
「今日は特別。用事でほとんどの人が出払ってるから。」
大変なんですね、と小さく呟くように言った。
「じゃあまずは、食器洗いから始めていただこうかしら。周りを見ながら、少しずつ覚えていきましょうね」
重ねられた食器達を指さし、また蘭子さんは優しく笑った。
蘭子さんの笑った顔が好きだった。
見ただけで、何となく安心してしまう。
だから沈んでいた気持ちもいつの間にか吹っ飛んで
「はい‥‥!」
厨房に響く声とともに、あたしの初仕事が始まった。