ぼくとあたしの恋物語's
ここにいると、なぜか別れてだいぶたつあいつのことを思い出す。
結構好きだったのに、
ほんの些細なことでけんかして、
もうそれっきり。

仲直りの機会が得られないままに、風の便りであいつに新しい彼女ができたと聞いた。

ああ、よかったね

とその時は笑顔でいっては見たものの。
一人になってから無性に悲しくなって、気がついたらこの丘に来ていた。

それがここを知ったきっかけ。

(あの時はまだ、黄色いたんぽぽが鮮やかなころだったっけ……)

それから季節が移りゆくことを、この丘の色が教えてくれた。


あたしはごろりと白い雪の絨毯の上に横になった。
ふわわといっせいに雪の精が青い空へと旅立つ。
この雪はあったかくていい気持ち。

そのまままどろんで、いい夢を見ていよう……。
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