ぼくとあたしの恋物語's

「いかん、サボりすぎた」

頭をぽりぽりと掻きながら、彼は勢いよく立ち上がる。
とたんに雪の精たちがいっせいに空高く舞い上がっていく。

「またどっかで逢おうね、ばいばい」

彼は微笑むと、足早に向こうの方へいってしまった。

あたしはそんな彼の後ろ姿を見えなくなるまで眺めていた。

いい加減見えなくなって、ふうと息を吐く。


あたしはゆっくりと立ち上がった。
ふわふわと雪の精が舞い下りてくる。
それを手のひらで受け止めてみて。

あたしはなぜが彼の明るい笑顔をまざまざと思い出したのだった。




*ヒトツまる*
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