ぼくとあたしの恋物語's
「へっ?」



きょとんとするあたし。
そんなあたしに、やつは真剣なまなざしでこう言ったのだ。


「初めて会ったとき、僕の夢の話、聞いてくれたでしょ?
そのとき、あなたは笑ってくれたんだ。すごく暖かく」


そういえば、笑ったかもしれない。
正直、覚えていない。
もしそうだったとしても、アレはあきれ笑いだったんじゃないかなあ…。

そんなことを考えるあたしをよそに、やつは真面目に続ける。



「あんなに暖かくて優しくて、かわいく笑ってくれた人。
 僕は初めてだったんだ」



へえ、そうだったんだ……。
あたしは無意識に笑ったのだと思うのだけど。
かわいかったんだ。知らなかった。


「初めて会った人が、こんなにもかわいく笑ってくれる。
 だから」

「だから?」


やつの瞳に私が映る。真っ直ぐな視線。


「だから。
 もういちど、あの笑顔が見たかったんだ。
 僕の話で笑ってほしかったんだ」

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