蒼空へのシュート ~先生への想い~
「蒼ちゃん、明日会えない?」
2カ月ぶりに仁さんから連絡だった。
なんだかドキドキする。
これは会えなかった切なさなのか…それとも…
「会いたかったー。帰ってきて一番に蒼ちゃんの顔見たくてさ」
変わらない笑顔にホッとした。
いつも待ち合わせはマスターの店なのに、「今日は迎えに行くから」と強い口調で言った仁さんの言葉に本当は少し心配だった。
車を運転しながら仁さんは言った。
「その袋開けてみて。お土産」
ダッシュボードの上に小さな赤い紙袋があった。
『これ?』
中には柔らかい紙に包まれた物が。
包みをそっと開くとスプーンとフォークが出てきた。
柄の所には深碧色の小さなハート型の石がついていた。