蒼空へのシュート  ~先生への想い~

『かわいい。どこで買ったの?』


「フランス」


『えっ?フランス製ってこと。この前言ってた雑貨屋さん?こんなかわいいのあるんだ』


「ちがうよ。だから、フランスだって。蒼ちゃんにもあの店、連れて行きたかったな」


笑いながら仁さんが言う。


『本当にフランス行ってたの?急な用事があるって言ってたけど…』


仁さんは車を高台にある自然公園の駐車場に停めた。


「ここからの眺め、いいでしょ」


街の明かりがキラキラしてとてもきれいに見える。


「これ、蒼ちゃんに食べてほしいんだけど…」


そういって後部座席からケーキの箱を取り中からカップを私に手渡した。


『プリン?ゼリー?…』


黙ったままニコニコした顔で私を見つめる仁さん。
< 138 / 207 >

この作品をシェア

pagetop