蒼空へのシュート  ~先生への想い~

「俺さ、大学辞めてフランスに行こうと思ってんだ。パティシエの修行に…」


『えっ』


「でもさ、正直迷ってたんだ。パティシエは俺の夢だったけど、やっていく自信がなかった。でもさ、蒼ちゃんに会っていろいろ話したり感じたりしていく中で確信したんだ。夢を叶えるために一歩踏み出してみよう。リスクを怖がっているだけじゃなにも出来ないって。そして蒼ちゃんに似合う男になるって」


『そんな、私だって、こんな私なのに好きになってくれるのが…だって、私は…』


「蒼ちゃんの心の中にまだ先生がいるのはわかってる。でも、俺もそこまで惚れられるような男になってくるから…帰ってきたときはもう一度蒼ちゃんに告白したい。それならいいでしょ」


『仁さん…』


「でもさ、時々お菓子の批評してほしいな。食べることは無理かもしれないけど、飾り付
けの意見も知りたいし。蒼ちゃんのブームも知りたいし。蒼ちゃんとのつながりほしいから…」



そう言って仁さんは私を抱きしめた。
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